AACオンデマンド

このシリーズは

書籍「AAC入門」(atacLab)をベースに、これまでATACカンファレンスでお伝えしてきた実践的内容も加味したAAC(拡張・代替コミュニケーション)に関するオンデマンド教材です

障害のある人の支援において、衣食住に関わる活動に比べてコミュニケーションは軽視されがちです。食べ物を食べる動作と同じく、何を食べるかを自己決定し、相手に伝えることは生活の質(QOL:Quality of Life)を保障する上で重要なことです。しかし、コミュニケーションは「なんとなく出来ているという気分になる」ことから、置いていかれがちなのです。

実際には、コミュニケーションが一見成立しているように見えても、必ずしも満足いくものに至っていないことがよくあります。また、重度の障害のある人とのコミュニケーションでは、支援者の独りよがりなコミュニケーションとなっているケースもあります。どうしていいか分からない、ただ、黙っているわけにもいかないので自己流で話しかけているという人もいます。これらはお互いにとって不幸だと言えます。

コミュニケーションに関する正しい知識があれば、コミュニケーションが変わってきます。この積み重ねが彼らのコミュニケーション意欲を高め、自己決定を支え、生活の質を向上させるに違いありません。このビデオが少しでもご家族、学校の先生、福祉・医療関係者のコミュニケーションの改善に役立つことを願っています。

構成と対象者について

・基礎編と応用編の2部構成になっています。
・基礎から応用まで学びたい人は順にビデオをご覧ください。
・すでにAACや障害、支援技術の基礎を学んでいる人は応用編から自分の必要な項目だけご覧いただいても結構です。

ここで学んでいただくことについては、特に、心理学や工学の専門的な知識が必要なわけではありません。唯一必要なのは、障害当事者の意思を正確に汲み取り、また、わかりやすい形で情報を伝えることが彼らの生活の質を高める上で大切だと考えているかどうかという事です。

現場で働く教育・福祉・医療関係に携わる方、障害のある子どもの子育てをされている保護者、これから学ぶ多くの若者など、皆さんにご利用いただける動画として、無料で公開しています。どうぞご活用ください。

基礎編(第1回〜第4回)

1. AACとは?

コミュニケーションできないから気持ちを汲み取ってあげて本人の要望を叶えてあげる。これは果たしてどこまで可能なのでしょうか?
何となく汲み取っている当事者の意思は支援者の主観によって作り上げられているかもしれません。障害のある人の自立にとってコミュニケーションはもっとも大切なものです。障害者の自己決定を支える技術として生まれたAAC(拡大・代替コミュニケーション)でもっと丁寧に意思を汲み取って見ませんか?

2. 障害の理解

障害と聞くと治療しなければと考える人がほとんどです。彼らは何かができないために困まるだろうと考えると治療という考えからなかなか抜け出せません。しかし環境によって障害が及ぼす影響は大きく変わります。テクノロジーによる能力の拡大・代替も障害のある人の生活を大きく変えてきています。我々は障害をどのように捉えたらいいのでしょうか?

3. コミュニケーションの基礎

障害があるからコミュニケーションが難しいと考えていませんか?
障害の有無にかかわらずコミュニケーションは難しいものです。人とコミュニケーションをする上で重要なポイントをまずは理解してみましょう。

支援者として必要なコミュニケーションの基礎知識

4. AT(支援技術)とは?

テクノロジーは様々な人を色々な場面で支えています。障害のある人にとってもそれは同じですが、1つ大きな違いがあります。それは、障害のために受動的、依存的にならざるを得ない状況を、テクノロジーによって自らが能動的に決定し、活動できる場面を作り上げるのを支援できるという点です

応用編(第5回〜第10回)

言語理解、音声言語、運動障害のレベルに応じたコミュニケーションとは?

障害は多種多様でその支援方法も異なります。しかし根底に流れるコミュニケーション支援の考え方を理解できればそれがどのような障害があっても残された能力を活用し最大限のコミュニケーションが実現できるでしょう。ここでは言語、音声、運動能力の3つの側面からコミュニケーションの困難さを整理し、その具体的技法を学びます

言語障害はあるが言語理解はあり指差しや視線が使える人とのコミュニケーション

Yes/Noコミュニケーション

知的障害・自閉症のある人とのコミュニケーション

重度知的障害のある人とのコミュニケーション

重度重複障害の人とのコミュニケーション

最重度重複障害の人とのコミュニケーション