ATACカンファレンス2023 Time Table

  PDFのご案内はこちら

                           

一昔前、外出先では、人や案内板を探して情報を得ていました。夜中見知らぬ田舎駅に着いて目的地を探す時は本当に不安なものでした。そんな中で人の温かさに触れ、本では知り得ない情報を得て、嬉しくなったものです。

今は、人に聞かなくてもいつでもどこでも簡単にネットで情報を得ることができる時代です。情報機器を持たずに戸惑っている高齢者が長蛇の列の原因になり、冷たい視線にさらされることすら起こります。人のリアルな社会でのコミュニケーションは確実にビジネスライクになってきています。AIによって機械と人の対話がもっと自然になっていくでしょう。その時に実社会のコミュニケーションはどうなっていくのでしょうか? コミュニケーションの不得手な人にとっても住みやすい社会になっているでしょうか?

ICTの活用を推進してきたATACカンファレンスで、こんな話題を出すのはなんだか矛盾しているようにも思えます。社会のコミュニケーションのスタイルが多様化する今だからこそ、人と人が直接繋がる楽しさを教えていくことが、親や教師や支援者に求められる気がしてならないのです。AI開発者の清水亮氏がその著書の中で、これからの人に求められることの一つに「真心」を挙げています。なんだか面白い時代になっていきそうです。

今年のテーマは 「話しながら考える。」

新型コロナウイルス感染症が5類に変更され、やっと対面でカンファレンスを開催することができます。そのメリットを生かして、今年はできるだけ講師と対話しながら学んでいけるセッションを考えました。講師は、皆さんに問いかけながら話を進めていきます。疑問に思ったことをどんどんその場で伝え、議論しながら学んでいきましょう。

プログラム 12月17日(日) 9:30-16:20

◆講師:(敬称略/50音順)
 青木 高光(国立特別支援教育総合研究所 特任研究員 / 長野県特別支援学校 ICT活用推進リーダー)
 赤松 裕美(東京大学先端科学技術研究センター 特任助教)
 井上 賞子(安来市立荒島小学校 教諭)
 巖淵 守(早稲田大学 教授)
 大河内 直之(東京大学先端科学技術研究センター 特任研究員)
 岡 耕平(滋慶医療科学大学大学院 教授)
 近藤 武夫(東京大学先端科学技術研究センター 教授)
 坂井 聡(香川大学教育学部 教授)
 佐藤 牧子(東京学芸大学附属小金井小学校 養護教諭)
 佐野 将大(香川県立高松支援学校 教諭)
 志磨村 早紀(東京大学先端科学技術研究センター 学術専門職員)
 鈴木 俊貴(東京大学先端科学技術研究センター 准教授)
 鈴木 秀樹(東京学芸大学附属小金井小学校 教諭)
 土井 善晴(東京大学先端科学技術研究センター 客員上級研究員 / 料理研究家)
 肥後 祥治(鹿児島大学 教授)
 中邑 賢龍(東京大学先端科学技術研究センター シニアリサーチフェロー)

◆企業・団体:
 NPO法人サイエンス・アクセシビリティ・ネット
 ソフトバンク株式会社
 一般社団法人日本支援技術協会


複数の部屋で、同時にいくつかのセミナーが行われます。ご自身の興味のあるセミナーを自由に選択して参加いただけます。詳細な内容が確定次第、順次ホームページに公開いたします。   


セッション1 9:30-10:50   
インクルーシブ教育A-1[Room 501]定員82名
インクルーシブ教育の作戦会議 「教室の中に聴覚障害の人が参加したら?」
インクルーシブ教育は、保護者や教師が中心になって準備され、子ども不在で進んでいるケースが多いようです。ここではインクルーシブ教育経験者の聴覚障害者と元小学校校長の二人が、どのようにすれば当事者である子どもにとって最適な学びの場を提供できるか議論します。
講師:坂井 聡・志磨村 早紀 セミナー資料はこちらから
学ぶB-1[Room 509]定員88名
支援技術をどのように子どもの学びにつなげるか? 長野県の取り組み
支援技術が障害のある子どもに有効であることが分かっても、その機器の選択やフィッティングは容易ではありません。また、その相談を誰にどのようにすればいいのか悩む先生も多いようです。長野県では、支援技術の研修プログラムを立ち上げ、多くの教員が参加しています。その事例を通してこれからの特別支援教育における支援技術サービスの位置付けを考えてみます。
講師:青木 高光  ゲスト:大蔵 潤(長野県上田養護学校)・齋藤 圭一朗(長野県稲荷山養護学校) セミナー資料はこちらから
コミュニケーションC-1[Room 510]定員120名
鳥のコミュニケーションに学ぶ
動物に言葉があると自信を持って断定できる人はあまりいないのではないでしょうか。動物を観察し続けて、動物言語学という分野を日本で初めて立ち上げた鈴木俊貴氏に登壇いただきます。鈴木氏から最新の動物言語学研究についてご紹介していただいた後に、土井善晴氏、中邑賢龍氏を交えて、コミュニケーションとは何かについて自由に語り合ってもらいます。
講師:鈴木 俊貴・土井 善晴・中邑 賢龍 セミナー資料はこちらから
テクノロジーD-1[Room 554-A]定員35名
AIなど最新のテクノロジーはどうなっているのか?
テクノロジーなしには我々の生活は成り立たなくなっています。教育や福祉もそれを前提にすれば大きく変化するに違いありませんが、AIやWeb 3と言われても、便利そうだけど得体の知れないもののように感じる人も多いと思います。ここでは、日常生活に密接に関係する新しい技術をデモを交えながら分かりやすく紹介します。
講師:巖淵 守 セミナー資料はこちらから
不登校・ゲーム依存・SNSE-1[Room 554-B]定員35名
保健室で学びを探す子どもたちー2.5プレイス保健室の試みー
学校での不適応の問題が大きくなっています。その中で保健室の果たす役割が注目されています。教室に入れなくてもICTで授業中継を受けられる、子どもの悩みを聞き担任との繋ぎを行うなど、保健室が各教室を結ぶハブとなっている小学校の実践を聞きながら、多くの子どもを包摂するこれからの学校を議論してみます。
講師:佐藤 牧子・鈴木 秀樹 セミナー資料はこちらから
働く・学ぶF-1[Room 555]定員85名
学ぶとは? 読み書きが苦手な子どもとの対話を通して考える
読み書きが当たり前のように習得できた人は、読み書きの苦手な人の辛さをなかなか理解できません。そのため、自分と同じように努力すればできると思いがちです。しかし、当事者にとっては、努力しているけどできないわけです。ここでは、当事者の話に耳を傾けながらどのような支援が大切か考えてみたいと思います。
講師:井上 賞子・ゲスト セミナー資料はこちらから
セッション2 11:00-12:20   
インクルーシブ教育A-2[Room 501]定員82名
障害のある子どもをどう通常学級で受け入れるか?
インクルーシブ教育の理念には賛同するが、実際に実施するとなると様々な障壁が存在します。元小学校校長経験者の講師から、現場で起こった様々な問題とその解決方法を聞くと同時に、いくつかの課題を皆さんと議論してみます。
講師:坂井 聡 セミナー資料はこちらから
学ぶB-2[Room 509]定員88名
学習につまずいた子どもと教材
学習につまずいた子どもは、努力することを求められますが、努力してもすぐには改善を期待できません。その間に勉強嫌いになる子どももいます。ICTを活用すればいいと思うかもしれませんが、経済的な事情などにより思うICT環境がすぐに作れない場合もあります。その場合、教師にできる最も身近で簡単な方法は、教材や宿題・テストなどの課題を変えてみることです。いくつかの事例を通して学んで頂きます。
講師:井上 賞子 セミナー資料はこちらから
コミュニケーションC-2[Room 510]定員120名
コミュニケーションとしての食事
食事は味や香り、さらには「見た目」が中心になると考えがちです。料理研究家の土井善晴氏と全盲の研究者の大河内直之氏、聴覚障害のある志磨村早紀氏が茶菓を食べながら、会話して「食べること」の本質に迫ります。ここでは、リハエンジニアの故畠山卓朗氏が伝えたかったコミュニケーションの本質に迫る映像も紹介し、議論を深めていきます。
講師:土井 善晴・大河内 直之・志磨村 早紀・中邑 賢龍 セミナー資料はこちらから
テクノロジーD-2[Room 554-A]定員35名
最新のテクノロジーは我々の生活をどう変えるのか?
スマホやタブレットのカメラを使って、重度肢体不自由のある人向けに開発された「顔スイッチ」や「iOAK」というアプリなどを紹介しながら、人間では見逃してしまう残存機能の検出をデモを通して感じていただきます。それと同時に、重度障害者のみならずこのような技術が我々の生活の中でどのように活用できるかを考えてみます。
講師:巖淵 守 セミナー資料はこちらから
不登校・ゲーム依存・SNSE-2[Room 554-B]定員35名
行動分析をどう教育に活かすか?
教育は、子どもを思う気持ちが大切であることは間違いありませんが、一方、科学的な視点も重要です。子どもの問題行動を刺激と行動との関係から分析する方法を学ぶ中で、今までとは違った発見があるはずです。
講師:肥後 祥治 セミナー資料はこちらから
働く・学ぶF-2[Room 555]定員85名
働きにくい当事者の声から就労を考える
障害者雇用が進んでいますが、果たして当事者の人たちはそこに満足しているのでしょうか?雇用率という数値達成の裏で、その制度下でも働けない人や悩みながら働く人もいます。ここでは当事者の声に耳を傾けながら、障害者雇用とは何かを考えてみましょう。
講師:岡 耕平・ゲスト セミナー資料はこちらから
セッション3 13:30-14:50   
インクルーシブ教育A-3[Room 501]定員82名
【ソフトバンク セッション】
インクルーシブ教育をどう実現するか? 魔法のプロジェクトのICT活用の実践から考える
魔法のプロジェクトは、教育におけるICT活用実践研究を10年以上に渡り続けてきました。今年のテーマは「インクルーシブ教育」。「通常校に重度障害のある子が来たら?」「特別支援学校に学習の学びにつまずいた子が来たら?」という疑問をこのプロジェクトに参加する教師に投げかけてみます。今まで経験してないニーズに対し、学校を超えて対応するにはどうしたらいいのでしょうか?ICTの活用を中心に皆さんと議論してみます
講師:中邑 賢龍・鈴木 秀樹・佐野 将大 セミナー資料はこちらから
学ぶB-3[Room 509]定員88名
知的障害の子どもとのシンボルコミュニケーションを学ぶ
言葉が使えない知的障害の子どもに絵・写真・シンボルを使ってコミュニケーションをさせようとしますが、上手くいかないケースもあります。そもそもシンボルを使う意味を理解できていないのかもしれません。子どもの認知発達に応じて、どのようにシンボルを導入すれば良いか具体的事例を通して学んでみましょう。
講師:青木 高光  ゲスト:鈴木 章裕(あっきーテックサポート) セミナー資料はこちらから
コミュニケーションC-3[Room 510]定員120名
強度行動障害の人とのコミュニケーション
強度行動障害のある子どものパニックに遭遇すると、何をして良いかわからなくなる人も多いのではないでしょうか?そのパニックは、言葉で説明できない人の訴えであるとも考えられます。その視点からパニックを冷静に捉えてみると、コミュニケーションに結びつけていくことも可能です。このコミュニケーションについて事例を上げながら、どのように関わればいいか皆さんと考えてみます。
講師:坂井 聡 セミナー資料はこちらから
テクノロジーD-3[Room 554-A]定員35名
【NPOサイエンス・アクセシビリティ・ネット セッション】
新たなアクセシビリティ・プラットフォーム Chatty Library(しゃべる図書館)
ディスレクシアなど発達障害により読むことに困難がある人達のための読み上げ機能付き電子図書の国際規格としてマルチメディアデイジーやEPUB3があり、小中学校の教科書については日本障害者リハビリテーション協会からデイジー教科書が提供され多くの児童生徒が利用しています。しかし、教科書以外の教材や高校・大学の教科書などのデイジー化は進んでいません。今回、日本財団による支援を受けて、多様なデイジー図書のライブラリーChattyLibraryがスタートすることになりました。このライブラリーの図書は特別な再生ソフトを必要とせず、ブラウザだけで利用が可能です。また、利用者が読みたいPDFやテキストをアップロードしてデイジー化してオンラインで再生するサービスや、デイジー図書製作支援などのサービスを備えた新たなプラットフォームを目指しています。
講師:鈴木 昌和(NPOサイエンス・アクセシビリティ・ネット 代表) セミナー資料はこちらから
不登校・ゲーム依存・SNSE-3[Room 554-B]定員35名
ゲームを知らない教師のためのゲーム講座
子どもたちはなぜゲームに没頭するのでしょうか?興味のない人には全く理解できない世界かもしれません。ここでは様々なゲームのデモを通してその面白さに気づいていただくと同時に、プログラム学習の理論に基づいて没頭されるように設計されているゲームの奥深さを理解して頂きます。日々の教育実践にも役立つ部分があるかもしれません。
講師:岡 耕平 セミナー資料はこちらから
働く・学ぶF-3[Room 555]定員85名
働くとは?超短時間雇用という考え方から考える
法定雇用率制度に基づく障害者雇用が広がっていますが、長時間働けない人にはそこで定める時間数が大きなハードルになっていました。これに対して国は、年々、時間数を緩和し、様々な人が働きやすい環境を整備しています。超短時間雇用の社会実装を進める講師から、事例を聞きながらこれからの障害者雇用について議論します。
講師:近藤 武夫 セミナー資料はこちらから
セッション4 15:00-16:20   
インクルーシブ教育A-4[Room 501]定員82名
入試とは? 合理的配慮と公平性という視点から
入試における合理的配慮の提供が広がってきていますが、学校現場全てに浸透しているわけではありません。一斉指導を原則として教育が行われてきた学校では、一人だけ特別なことをすることに不公平だという声がいまだに上がります。そもそも入試とは何かの本質を明らかにしながら、合理的配慮と公平性について議論し、この問題を整理してみましょう。
講師:近藤 武夫 セミナー資料はこちらから
学ぶB-4[Room 509]定員88名
GIGAスクール端末をどのように活用するか?
タブレットの教室での活用はその有無よりも教師の意識の方が大きいと感じています。ここでは、タブレット活用により、授業をFace-to-FaceからSide-by-sideに変え、先進的・挑戦的授業を行なっている小学校の実践を聞きながら、未来を生き抜く子どもの教育のあり方を議論してみます。
講師:鈴木 秀樹・佐藤 牧子 セミナー資料はこちらから
コミュニケーションC-4[Room 510]定員120名
重度重複障害の子どもとのコミュニケーション
重度重複障害の子どもとのコミュニケーションは、彼らの反応が微細で安定しない場面も多く、主観的なものになりがちです。そのため、コミュニケーションの発達を引き出すのは困難です。どうすれば彼らの発信を正しく読み取り、適切にフィードバックできるのか?様々な実践を聞きながら考えてみましょう。
講師:佐野 将大 セミナー資料はこちらから
テクノロジーD-4[Room 554-A]定員35名
【日本支援技術協会 セッション】
あなたもデジタルアクセシビリティアドバイザーになりませんか。
人は誰に出会うかによってデジタルの便利さを体験したり実現したりする機会が大きく違ってくるのではないでしょうか。 当協会では、デジタルアクセシビリティアドバイザー認定制度を実施してきましたが、本年から日本財団の助成を受けて、受験機会の拡大と教材の充実を図ってきました。ご家族、当事者、教員やセラピストはもちろん家電量販店や携帯電話事業者等の一般企業にまで広げていくことで、デジタルアクセシビリティのマインド持った支援者が世の中に広く位置づけられ、必要な人と出会う確率が高まっていくと考えております。セミナーでは認定制度の紹介と各分野で活躍する認定者の活動を紹介します。
講師:大海 恵聖(エムブイピークリエイティブジャパン)・金森 克浩(帝京大学)・小林 大作(アシテック・オコ)・田代 洋章(日本支援技術協会)・福島 勇(熊本高等専門学校) セミナー資料はこちらから
不登校・ゲーム依存・SNSE-4[Room 554-B]定員35名
ゲーム依存の作戦会議 子どもがゲームから離れない
ゲーム依存が社会の中で問題となっています。それくらいゲームは人を引き込むための様々な工夫がなされています。ゲームだけが悪いわけではなく、ゲームに目を向けさせる社会にも問題があるのかもしれません。広い視点から、ゲーム依存からの脱却方法を議論してみましょう
講師:岡 耕平 セミナー資料はこちらから
働く・学ぶF-4[Room 555]定員85名
働くから学びへ LEARNプログラムで見えてきたこと
働くために学ぶことが一般的ですが、東大先端研のLEARNプログラムでは学ぶことの苦手な子どもたちに先に働く機会を提供し、それを通して学びに結びつける取り組みを行っています。具体的な実践を紹介しながら学びにつまずいた子どもの支援について考えてみます。
講師:中邑 賢龍・赤松 裕美 セミナー資料はこちらから